美容室様

新規のお客様は来ていました。それでも、私たちはずっと集客に悩んでいました。

美容院を経営していると、

「どうすれば新しいお客様に来てもらえるか」

ということを考える機会が多いと思います。

私たちもそうでした。

予約表に空きがある。

平日の午後が埋まらない。

来月の予約状況が気になる。

そんなときに考えるのは、いつも新規集客のことでした。

もっと新しいお客様を増やしたい。

もっとたくさんの方にお店を知ってもらいたい。

予約表を埋めたい。

そのために、私たちは長い間、大手美容予約サイトを利用していました。

毎月決して安くない掲載費を支払っていましたが、実際にそこから予約は入っていました。

新規のお客様も来店されていました。

そのため、掲載費について、

「美容院を経営するためには必要な経費」

だと思っていました。

掲載費は高い。

でも、掲載をやめたら新規のお客様が来なくなるかもしれない。

プランを下げたら、近隣の美容院に埋もれてしまうかもしれない。

検索結果の上位に表示されなくなったら、予約数が減ってしまうかもしれない。

そんな不安がありました。

だから、毎月掲載費を払い続けていました。

新規クーポンも出していました。

期間限定キャンペーンも行っていました。

それでも、経営に対する不安がなくなることはありませんでした。

むしろ、

「こんなに新規のお客様が来ているのに、どうして毎月集客のことばかり考えているのだろう」

という疑問を感じるようになりました。


予約は入っていました。でも、利益が残っている感覚はありませんでした。

当時の私たちは、決して暇な美容院ではありませんでした。

予約が埋まっている日もありました。

土日は朝から夕方まで予約が続くこともありました。

スタッフは毎日忙しく働いていました。

新規のお客様からの予約も入っていました。

外から見れば、

「順調に経営している美容院」

に見えていたかもしれません。

でも、実際は違いました。

毎日忙しい。

スタッフも働いている。

新規のお客様も来ている。

それなのに、月末になると、

「思っていたほど利益が残っていない」

ということが何度もありました。

原因が分からないため、私たちは、

「もっと売上を増やさなければいけない」

と考えていました。

そして、売上を増やすためには、

「もっと新規のお客様を増やさなければいけない」

と思っていました。

今振り返ると、ここが最初の大きな間違いだったと思います。


毎月40人以上の新規客が来ている。それでも安心できませんでした。

当時、予約サイトなどを経由して来店される新規のお客様は、月平均43名でした。

美容院の規模を考えると、決して少ない人数ではありません。

月に43名。

年間で考えると500名以上です。

私たちは、

「これだけ新しいお客様が来ているのだから、もっと売上が増えてもいいはず」

と思っていました。

でも、現実は違いました。

毎月、新しいお客様が来る。

そのお客様に施術する。

翌月になる。

また新しいお客様を集める。

その次の月も同じです。

毎月40名以上の新規客を集めているのに、なぜか翌月も同じ人数の新規客が必要になる。

私たちは、その理由について深く考えたことがありませんでした。

新規のお客様を何人集めたか。

予約サイトから何件予約が入ったか。

先月より予約数が増えたか。

見ていたのは、それだけでした。


初めて「新規のお客様のその後」を確認しました。

Es Linkさんに相談して、最初に行ったのが数字の整理でした。

月間売上。

新規客数。

リピーター数。

客単価。

予約経路。

再来率。

キャンセル率。

メニューごとの利用状況。

さまざまな数字を確認しました。

その中で、私たちが一番驚いたのが、

新規再来率でした。

月平均43名の新規のお客様が来店されていました。

その中で、2回目の来店につながっていたのは平均10名ほど。

つまり、

新規再来率は約23%。

10人のお客様が初めて来店しても、次回来店してくださるのは2人ほど。

残りの8人近くは、次回来店につながっていませんでした。

この数字を見たときは、本当に驚きました。

私たちはずっと、

「新規のお客様を増やさなければいけない」

と思っていました。

でも、本当の問題は違いました。

新しいお客様が来ていないのではありません。

来ていただいたお客様との関係を続けることができていなかったのです。


43人集客して、33人を失う。そして翌月、また43人を集める。

数字にすると、私たちがやっていたことがよく分かりました。

毎月43人の新規客を集める。

そのうち、次回来店するのは10人。

33人は戻ってこない。

翌月、また43人を集める。

10人が残る。

33人が戻ってこない。

また翌月、43人を集める。

ずっとその繰り返しです。

その43人を集めるために、毎月高い掲載費を支払っていました。

クーポンを出していました。

広告費も使っていました。

スタッフは新規のお客様への対応をしていました。

それでも、その多くが一度の来店で終わっていました。

今振り返ると、

穴の空いたバケツに、必死で水を入れ続けていたような状態

だったと思います。

水が減る。

もっと水を入れる。

また減る。

さらに水を入れる。

私たちは、

「もっと水を入れる方法」

ばかり考えていました。

でも本当に必要だったのは、

最初にバケツの穴を塞ぐことでした。


新規集客の相談をしたのに「まず集客を増やすのをやめましょう」と言われました。

最初にEs Linkさんへ相談したとき、私たちが考えていたのは新規集客でした。

予約サイト以外からも新規のお客様を増やしたい。

Google検索から予約が入るようにしたい。

SNSをもっと活用したい。

広告費を減らしながら予約数を増やしたい。

そういった相談をしました。

だから当然、新しい集客方法を提案されると思っていました。

でも、実際に言われたのは、

「新規のお客様を増やす前に、今来ているお客様がなぜ戻ってこないのかを確認した方がいいと思います」

ということでした。

正直、最初は少し意外でした。

新規集客について相談しているのに、新規客を増やさない。

どういうことなのか分かりませんでした。

でも、数字を整理した後は納得しました。

毎月43人を集めても33人が戻ってこない。

この状態で、新規客を60人に増やしたとしても、同じことの繰り返しです。

一時的に売上は増えるかもしれません。

でも、翌月にはまた新規客が必要になります。

私たちに必要だったのは、

「新しいお客様を増やすこと」ではなく、「一度来ていただいたお客様に、また来たいと思っていただくこと」

でした。


お客様が戻ってこない理由を、私たちは勝手に決めつけていました。

それまで、お客様が再来店されなかったとき、

「他の美容院の方が安かったのかな」

「自宅から少し遠かったのかな」

「たまたま合わなかったのかな」

「もっと安いクーポンを見つけたのかな」

と考えていました。

でも、それはすべて私たちの想像でした。

実際にお客様がなぜ戻ってこないのか。

確認したことはほとんどありませんでした。

そこで、予約状況や口コミ、お客様からいただいた意見、スタッフとの会話などを整理しました。

すると、いくつもの問題が見えてきました。

美容院の特徴が伝わっていない。

新規クーポンの安さが一番目立っている。

担当者によってカウンセリング方法が違う。

次回来店の目安を伝えていない。

施術後のフォローがない。

お客様が次にいつ来ればいいのか分からない。

初回来店時には丁寧に対応しているつもりでも、

次回来店につなげるための流れが全く整っていませんでした。


私たちは「安いから来るお客様」を自分たちで集めていました。

特に大きかったのが、新規クーポンの問題でした。

当時の私たちは、新規予約を増やすためにさまざまなクーポンを出していました。

新規限定カット+カラー。

初回限定○%OFF。

平日限定クーポン。

期間限定キャンペーン。

とにかく予約を増やしたい。

そのため、

「どんなクーポンならクリックしてもらえるか」

「近隣の美容院より安くできるか」

ということばかり考えていました。

実際、安いクーポンを出すと予約は増えました。

だから、

「成功している」

と思っていました。

でも、実際には違いました。

安いクーポンを目立たせれば、

価格を重視するお客様が集まりやすくなる。

当然のことでした。

初回は安い。

だから来店する。

次回は通常料金になる。

すると別の美容院の新規クーポンを探す。

次は別のお店。

その次も別のお店。

私たちは、

「リピーターが少ない」

と悩みながら、

自分たちで、

「一度だけ利用する可能性が高いお客様を集める仕組み」

を作っていたのです。


「安くしないと選ばれない」と思い込んでいました。

新規クーポンを見直す話が出たとき、正直かなり不安でした。

安くしなければ予約が減る。

近隣の美容院に負ける。

掲載順位が下がる。

予約表に空きが増える。

そう思っていました。

でも、Es Linkさんから聞かれたのは、

「今の美容院を、お客様が通常料金でも選ぶ理由は何ですか?」

ということでした。

すぐには答えられませんでした。

技術力。

接客。

店内の雰囲気。

スタッフ。

いろいろな答えが浮かびました。

でも、それは他の美容院も同じです。

技術に自信があります。

丁寧に接客します。

居心地の良い空間です。

経験豊富なスタッフがいます。

ほとんどの美容院が同じようなことを伝えています。

お客様から見れば、

「結局、この美容院は他と何が違うの?」

という状態だったと思います。


初めて「私たちは誰のための美容院なのか」を考えました。

それまで私たちは、できるだけ多くのお客様に来ていただきたいと思っていました。

10代。

20代。

30代。

40代。

50代。

男性。

女性。

学生。

会社員。

主婦。

できるだけ多くの方に来ていただきたい。

そのため、発信内容も、

「誰にでも当てはまる内容」

になっていました。

でも、それでは誰の心にも強く残りません。

そこで、

今通ってくださっているお客様はどんな方なのか。

長く通ってくださっている方は、なぜ私たちを選んでいるのか。

どんな悩みを持って来店される方が多いのか。

一つひとつ整理しました。

すると、私たちの美容院には、

「大型店の雰囲気が苦手」

「毎回担当者が変わるのが嫌」

「自分に似合う髪型が分からない」

「年齢とともに髪の悩みが増えてきた」

「できるだけ自宅でも扱いやすい髪型にしたい」

というお客様が多いことが分かりました。

私たちは、

安さを求める方のための美容院ではありませんでした。

一人ひとりの悩みを聞きながら、長く付き合っていく。

それが、本来私たちが大切にしていたことでした。


クーポンを変える前に「伝える内容」を変えました。

いきなりすべてのクーポンをやめたわけではありません。

最初に変えたのは、情報の伝え方でした。

それまでは、

価格。

割引率。

キャンペーン。

メニュー内容。

それらを中心に伝えていました。

改善後は、

どんなお客様に向いている美容院なのか。

どんな悩みを相談できるのか。

カウンセリングで何を大切にしているのか。

施術後のことまでどう考えているのか。

自宅でのお手入れについてどうサポートするのか。

実際のお客様がどんなことに悩み、どう変わったのか。

そういった内容を発信するようになりました。

すると少しずつ、

新規のお客様から言われる言葉が変わりました。

以前は、

「クーポンを見て予約しました」

が多かったです。

改善後は、

「自分と同じ悩みの方の事例を見ました」

「ブログを読んで相談してみたいと思いました」

「口コミを見て、丁寧に話を聞いてもらえそうだと思いました」

と言っていただけるようになりました。

同じ新規のお客様でも、

来店する前の段階から違いが生まれていました。


カウンセリングを「希望を聞く時間」から変えました。

次に見直したのが、初回来店時のカウンセリングです。

以前は、

「今日はどのようにしますか?」

と聞く。

お客様が希望する髪型を伝える。

必要に応じて写真を見せてもらう。

施術内容を決める。

それが普通でした。

でも、改善後は少し変えました。

なぜその髪型にしたいのか。

今、一番困っていることは何か。

朝のスタイリングにどのくらい時間を使えるのか。

普段どんな商品を使っているのか。

前回の美容院で気になったことはないか。

どのくらいの頻度で美容院に通いたいのか。

お客様の生活まで含めて聞くようになりました。

すると、

お客様が最初に言っていた希望と、本当に困っていることが違うケースがたくさんありました。

「短くしたい」

という希望の裏には、

「朝のセットを楽にしたい」

という悩みがある。

「カラーを変えたい」

という希望の裏には、

「白髪が目立つ頻度を減らしたい」

という悩みがある。

その違いが分かるようになりました。


次回予約をおすすめすることへの抵抗もありました。

以前の私たちは、施術が終わると、

「ありがとうございました。またお待ちしています」

とお見送りしていました。

次回来店について詳しく話すことは、ほとんどありませんでした。

理由は、

「営業っぽく思われたくない」

からです。

次回予約を勧めたら嫌がられるかもしれない。

しつこいと思われるかもしれない。

だから、お客様から予約してくださるのを待っていました。

でも、お客様の立場から考えると、

次にいつ来ればいいのか分からない方もいます。

そこで、

「今回のカラーですと、約2か月後くらいから根元が気になり始めると思います」

「今の長さを維持するなら、次回は6週間から8週間くらいがおすすめです」

と、理由と一緒にお伝えするようになりました。

無理に予約を取るのではありません。

美容師として、次回来店の目安をきちんと伝える。

それだけでも反応は大きく変わりました。


新規再来率が23%から68%になりました。

取り組みを始めて半年。

最も大きく変化したのが、新規再来率でした。

以前は、

23%。

月43名の新規客のうち、2回目の来店につながるのは約10名でした。

改善後は、

68%。

新規のお客様の約7割が、2回目の来店につながるようになりました。

約3倍です。

この数字を見たとき、

「もっと早く気づけば良かった」

と思いました。

私たちは何年も、新規客を増やす方法ばかり考えていました。

でも、目の前のお客様との関係を見直すだけで、経営状況は大きく変わりました。


新規客数は減りました。

実は、改善後、新規のお客様の数は減りました。

以前は月平均43名。

改善後は月平均29名です。

14名の減少です。

以前の私たちなら、この数字を見た瞬間に焦っていたと思います。

新規客が減った。

もっと広告を出さなければ。

クーポンを安くしなければ。

掲載プランを上げなければ。

そう考えていたと思います。

でも、今回は違いました。

以前は、

43名 × 再来率23% = 約10名。

改善後は、

29名 × 再来率68% = 約20名。

新規客は14名減りました。

でも、2回目の来店につながるお客様は約2倍になりました。

たくさん集めることと、お客様が増えることは同じではありませんでした。


平均客単価は7,200円から10,600円になりました。

客単価にも大きな変化がありました。

以前の平均客単価は約7,200円。

新規クーポンや割引メニューの利用が多く、価格を抑えることで予約を増やしていました。

改善後は、

「安いメニューをなくして高くする」

ということではなく、

お客様の悩みに合わせて必要な施術を提案するようになりました。

髪質。

ダメージ。

カラーの頻度。

自宅でのお手入れ。

今後どのような髪型にしていきたいのか。

一人ひとりに合わせて考えるようになりました。

その結果、

平均客単価は7,200円から10,600円へ。

約47%増加しました。

以前の私たちは、

「料金を上げたらお客様が来なくなる」

と思っていました。

でも実際には、

価格そのものではなく、

その金額を支払う理由を伝えられているか

が大切だったのだと思います。


毎月22万円かかっていた集客費を7万円まで減らしました。

大手予約サイトの掲載費や広告費などを合わせると、以前は毎月約22万円を集客に使っていました。

年間にすると、

264万円。

かなり大きな金額です。

でも、以前の私たちは、

「必要経費だから仕方がない」

と思っていました。

改善後は、自分たちの強みやお客様の事例、髪の悩みに関する情報を発信するようになりました。

Google検索。

Googleマップ。

SNS。

既存のお客様からの紹介。

複数の経路から美容院を知っていただけるように改善しました。

その結果、予約サイトへの依存度が少しずつ下がっていきました。

最終的には、

月間集客費22万円 → 7万円。

年間換算すると、

264万円 → 84万円。

年間で約180万円の削減です。


新規客は減った。広告費も減った。それでも売上は128万円から196万円になりました。

半年後。

月間売上を確認すると、

128万円から196万円

になっていました。

約53%の増加です。

新規客は減っています。

広告費も減っています。

クーポンによる安売りも減らしました。

それでも売上は増えました。

理由は一つではありません。

新規再来率が上がったこと。

客単価が上がったこと。

既存のお客様との関係が長くなったこと。

集客費が減ったこと。

それぞれの改善が積み重なった結果でした。


BEFORE → AFTER

新規客数

月43名 → 月29名

新規再来率

23% → 68%

2回目の来店につながったお客様

月約10名 → 月約20名

平均客単価

7,200円 → 10,600円

月間集客費

22万円 → 7万円

月間売上

128万円 → 196万円

以前の私たちは、

新規客数だけを見ていました。

43人から29人。

それだけを見ると、悪くなっています。

でも、その先を見ると全く違います。

私たちが変えたのは、予約数ではありませんでした。

一度来てくださったお客様との関係でした。


スタッフも「新規客を取らなければ」という焦りが減りました。

数字だけではなく、スタッフにも変化がありました。

以前は予約表に空きがあると、

「新規クーポン出しますか?」

「SNSで空き状況を投稿しますか?」

「予約サイトのブログ更新しますか?」

という会話が多くありました。

とにかく予約を埋める。

それが最優先でした。

今は違います。

前回来店されたお客様は、その後どうだったか。

次回来店の目安を伝えられているか。

お客様が自宅で困っていることはないか。

カウンセリングで聞いた内容を次回に活かせているか。

会話の内容が変わりました。


予約サイトを使うことが悪かったわけではありません。

ここは誤解してほしくない部分です。

私たちは、予約サイトそのものが悪かったとは思っていません。

実際、たくさんの新しいお客様との出会いがありました。

問題だったのは、

私たちが予約サイトに依存しすぎていたこと

でした。

新規客が欲しい。

掲載費を払う。

予約が入る。

戻ってこない。

また掲載費を払う。

私たちは、その流れを当たり前だと思っていました。

でも今は、

予約サイト。

Google検索。

Googleマップ。

SNS。

口コミ。

紹介。

さまざまな入口があります。

一つのサービスだけに依存しないことで、以前よりも安心して経営できるようになりました。


私たちは「集客」に疲れていたのだと思います。

今振り返ると、私たちはずっと集客に追われていました。

予約表に空きがあれば不安になる。

新規予約が少なければ不安になる。

近くに新しい美容院ができれば不安になる。

他店が安いクーポンを出せば不安になる。

掲載順位が下がれば不安になる。

その不安をなくすために、

広告費を使う。

クーポンを出す。

料金を下げる。

それでも、また翌月には不安になる。

ずっとその繰り返しでした。

今は、新規客の人数だけで一喜一憂することが減りました。

29名の新規のお客様が来てくださる。

その中で、約20名がもう一度来てくださる。

さらにその方たちが3回目、4回目と通ってくださる。

その積み重ねを見るようになったからです。


「安くしないと選ばれない」という考えが一番変わりました。

以前の私たちは、

美容院はたくさんある。

競争が激しい。

だから安くしなければ選ばれない。

そう思っていました。

でも今は違います。

お客様が美容院を選ぶ理由は、価格だけではありません。

自分の悩みを理解してもらえる。

安心して相談できる。

毎回同じように丁寧に対応してもらえる。

自分に合った提案をしてもらえる。

長く通える。

そういったことを求めている方もたくさんいます。

私たちは、その方たちに自分たちの存在を伝えられていませんでした。

安くすることばかり考えて、

本当に伝えるべきことを伝えていませんでした。


最後に

以前の私は、毎日のように予約サイトの管理画面を確認していました。

昨日は何件予約が入ったか。

今月は新規が何人来るか。

先月より予約数が増えているか。

掲載順位は下がっていないか。

近隣の美容院はどんなクーポンを出しているか。

それが美容院経営に必要なことだと思っていました。

新しい予約が入れば安心する。

予約が入らない日が続けば不安になる。

でも、その管理画面には、

「半年後も私たちの美容院に通ってくださっているお客様が何人いるのか」

という答えはありませんでした。

毎月43人の新規客を集める。

そのうち33人が戻ってこない。

また翌月、43人を集める。

私たちは何年も、その繰り返しを続けていました。

今思うと、順番が逆だったのだと思います。

新しいお客様を集めることは大切です。

今でも、新規のお客様との出会いは必要だと思っています。

でも、もっと大切なのは、

せっかく私たちの美容院を見つけてくださった方に、

「またここに来たい」

と思っていただくことでした。

改善後、新規客数は月43名から29名に減りました。

以前の私なら、この数字だけを見て焦っていたと思います。

でも今は違います。

29名のうち約20名が、もう一度来てくださっています。

新規再来率は23%から68%になりました。

平均客単価は7,200円から10,600円になりました。

毎月22万円かかっていた集客費は7万円になりました。

月間売上は128万円から196万円になりました。

もちろん、数字が改善したことは嬉しいです。

経営に対する不安も以前より少なくなりました。

でも、今回一番大きく変わったことは、

美容院の経営に対する考え方そのもの

だったと思います。

以前は、

「来月、何人の新規客を集めるか」

を考えていました。

今は、

「今日来てくださったお客様に、半年後も1年後も通いたいと思っていただくために何ができるか」

を考えています。

以前は、他の美容院より安いクーポンを作ることを考えていました。

今は、

「私たちだから提供できる価値は何か」

を考えています。

以前は、新しいお客様を集めるために時間とお金を使っていました。

今は、すでに来てくださっているお客様をもっと大切にするために時間を使えるようになりました。

振り返ってみると、

私たちは新規集客ができていなかったわけではありませんでした。

むしろ、毎月43名もの新しいお客様に来ていただいていました。

問題だったのは、

その出会いを一度きりで終わらせていたこと

でした。

集客費を増やすこと。

クーポンを安くすること。

掲載プランを上げること。

それより先に、やるべきことがありました。

目の前のお客様を知ること。

なぜ来店してくださったのかを知ること。

何に悩んでいるのかを知ること。

私たちの価値をきちんと伝えること。

そして、

また来たいと思っていただける理由を作ること。

一つひとつは、特別なことではありません。

でも、それまでの私たちはできていませんでした。

今でも、予約表に空きがある日はあります。

新規予約が少ない月もあります。

経営について悩むことがなくなったわけではありません。

それでも、以前のような、

「もっと新規客を集めなければ」

という焦りはなくなりました。

私たちには、何年も通い続けてくださっているお客様がいます。

次回の予約を楽しみにしてくださるお客様がいます。

髪の悩みだけではなく、仕事や家族の話までしてくださるお客様がいます。

その方たちとの関係を大切にすること。

そして、新しく来店してくださった方にも、

「ここなら長く通えそう」

と思っていただくこと。

それが、今の私たちの目標です。

地域で一番新規客が多い美容院になりたいとは思っていません。

予約サイトで一番上に表示される美容院を目指しているわけでもありません。

地域で一番安い美容院になりたいわけでもありません。

私たちが目指しているのは、

一度だけ100人に選ばれる美容院ではなく、一人のお客様に100回選んでいただける美容院です。

以前は、

「来月は何人集めなければいけないか」

を考えていました。

今は、

「10年後もこの美容院に通いたいと思っていただくために、今日のお客様に何ができるか」

を考えています。

売上が128万円から196万円になったこと。

集客費が22万円から7万円になったこと。

客単価が7,200円から10,600円になったこと。

再来率が23%から68%になったこと。

どれも私たちにとって大きな成果です。

でも、今回得られた一番大きな成果は、数字ではありません。

新しいお客様を追い続ける経営から、今いるお客様との関係を積み重ねていく経営に変わることができた。

そのことが、私たちにとって一番大きな変化だったと思っています。